今、なぜ地域と企業の協働が鍵となるのか
地方自治体(地域)と都市部の民間企業を結び、双方が気付きや学びを得る場「放課後企業クラブ」の取り組みを始めて、今年で3年目となります(2023年現在)。きっかけは、関係人口の拡大を目指す地域に対し、企業側にも、社員の新たな活躍の場や越境体験の場として、地域へ熱い視線が注がれていることを知ったことでした。あとは、双方をつなぐ存在が必要で、地域の伴走者として、つながる地域づくり研究所(つな研)にとっても、やってみない手はないと直感しました。
交流プログラムの一つである「セレンディピティプログラム」は、そのような双方のニーズに応えるべく、試行錯誤を繰り返して開発したプログラムです。コロナ禍のタイミングに始まり、オンライン交流を主体に、リアルな交流を組み合わせる構成が功を奏したことは、思いがけない結果でしたが、これからの時代にも合うプログラムになったと思います。
実施を重ねる中で、手探りで始めたこの取り組みの意外な効果や発展性に、手応えを感じることが増えています。人と人が出会うことで、想像以上の化学反応があるという実感は、私たちにとっても、おどろきであり、おもしろく感じているところです。
参加自治体の中には、普段は見えなかった職員一人ひとりの考えや想いが、外部の人との交流を通して浮き彫りになり、想いを実現する推進力を得て、一つのブレイクスルーとなったケースも見られました。こうして地域に生まれた新たな事業や活動に対し、企業人材がその過程においてもサポートし、関わり続ける意志も示されています。当初目指していた、つながりの継続と拡大という点でも、思った以上にステップアップの広がりが生まれています。
企業においても、参加者のその後の人生に変化が現れる事例が、既に数多く見られています。例えば、地域活性化起業人として地域に活躍の場を持つことになった人、起業、転職して新しく地方移住を決める人など、自身の人生をキャリア自律する人が現れ始めています。人生100年時代と言われるようになった昨今、新しい挑戦の場や生きがいを見つけ、輝き続ける学びとヒントが、地域という場にあるのです。
また放課後企業クラブは、このように自治体と企業を「組織と組織」でつなぐことを大きな特徴としています。地域に想いがあり、一人で動き出せる人は、既に用意された様々なプログラムに、自ら参加の機会を得ていることでしょう。組織と組織をつなぐことは、可能性があるけれどきっかけがない、一歩踏み出す機会がないという潜在的な人々へのアプローチにもつながると考えています。社会が変わる、みんなのものになるためには、そうした人々をどう巻き込むか、動機づけるか、勇気をつけるかが大事です。時には、みんなで行けば怖くないという背中の押し方もあるのではないでしょうか。その意味でも、意外な化学反応が起こっていると実感しています。
一極集中の価値観への限界が示されている昨今。東京や都市部の大手民間企業にとっても、地方にすそ野があること、人材があるということは不可欠なはずです。すそ野の資源が薄くなると、山は低くなるからです。そして地域が活性化し、新しいものを生み出して、すそ野を拡げていくためには、やはり多様性が存在することが基本になります。異なる背景を持つ人材同士の、継続的な関係づくりを目指す私たちの取り組みが、その一翼を担うことを期待しています。
お問い合わせ
都市部の民間企業と地方自治体(地域)に属する、普段は出会わない人同士が、
知恵や経験を持ち寄り、フラットで対等な立場から対話を重ね、仲間となって、一緒につくり上げていく「放課後企業クラブ」。
双方のマッチングから成果の創出まで、一貫して、つながる地域づくり研究所がサポートします。